はじめて学ぶ人のための超入門講座
第5回-2

芦原 睦 (中部労災病院心療内科)

 

「交流分析」とはどのような事を可能にする心理学なのか。勉強するとどう役に立つのでしょうか。

 交流分析の理論と技法を日常の診療・治療に実際に役立てて効果を上げておられる中部労災病院心療内科の芦原睦先生に、連載の第6回目は、交流分析理論のまとめとして「脚本分析」についてお書きいただきました。



脚本分析

 脚本分析は、交流分析の総仕上げ、本格的な心理療法と言えます。

 交流分析では人生を一つのドラマとみたてて、その中で人が演じる役割や筋書きを「人生脚本」または単に「脚本」と呼んでいます。あらゆるお芝居に始まりがあり、終りがあるように、私たちの人生にも始まりと終りがあります。

 ごく簡単なあなたの「人生ドラマチェック表」(「自分がわかる心理テスト」のP.193)をのせておきましたので御参照ください。心理治療として人生脚本を分析すると、人生の早期の問題や自分の性格が形つくられるまでの過程を知ることができます。

 TAは勉強すればするほど、奥が深いものです。御一緒に勉強できる機会を楽しみにしつつ連載を終了したいと思います。

あなたの人生ドラマのチェック

 現時点であなたの人生を一つのドラマと仮定しましょう。主役はもちろんあなたです。ゆっくり考えたい人はどうぞゆっくり考えて下さい。せっかちな人はどうぞ思い付きで書いて下さい。
 どちらの方法でも自由です。あなたがあなた自身の決断で自分の人生を決定しているように、どちらの方法も選ぶことができます。

1.あなたの人生ドラマはいつ始まりましたか。
       (ここには生年月日を書いて下さい。)
        年   月   日

2.あなたの人生の「タイトル」は何でしょうか。

3.そのドラマのメインテーマは何ですか。
  (急に答えにくければこの質問は最後にまわしても結構です。)

4.そのドラマは「喜劇」ですか。「悲劇」ですか。大体どんなお話でしょうか。
例えば「立身出世の物語」であるとか「お涙頂戴の人情もの」でしょうか。
あるいは「愛と苦悩の日々」とか「絶望にうちひしがれるストーリー」なのでしょうか。

5.あなたの知っている昔話、物語、映画や演劇のストーリーで類似したものはありますか。また自分の人生はどのようなドラマでありたいですか。

6.そのドラマはあなたの親が書いたものですか。それともある時点から自分自身が書いたものでしょうか。自分自身でシナリオを書き始めたのはいつからでしょうか。

7.そのドラマの主人公(つまりあなたなのですが)は最後には死ぬわけですが、どんな死に方をするのでしょうか。

8.結局そのドラマの主人公は勝者だったのでしょうか。敗者だったのでしょうか。言い換えると幸せだったのでしょうか、不幸だったのでしょうか。


講談社刊、芦原睦著「自分がわかる心理テスト」738円(本体価格)の193ページに掲載されています。



参考文献
・自分がわかる心理テスト(芦原 睦講談社ブルーバックス) ・ゲーム分析(チーム医療) ・脚本分析 (チーム医療)

第1回-1:交流分析って何?
第1回-2:交流分析(TA)の哲学
第2回-1:3つの欲求理論と4つの分析理論
第2回-2:ストローク
第2回-3:時間の構造化
第3回-1:構造分析
第3回-2:自己成長エゴグラム
第4回:基本的対人関係の構え
第5回-1:交流パターン(やりとり)・ゲーム分析
第5回-2:脚本分析
 

 
 

「交流分析」の入門編として様々な書籍が出ています。
TA学習参考図書一覧をご覧ください。
 
   





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