公認心理師試験のワンポイント情報 第7回

公認心理師受験対策WEB講座を受講中の皆様に、公認心理師試験のワンポイント情報をお送りいたします。

今回は第七回目です。少し長くなりますがお付き合いください。まず、前回の問題の回答です。

○「精神保健福祉法」による入院に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。(保健福祉士試験の過去問から)

1 任意入院では、精神保健指定医が必要と認めれば72時間に限り退院を制限できる。

2 医療保護入院では、2名の精神保健指定医が認めれば家族の同意は不要である。

3 措置入院では、家族の同意が得られた時点で速やかに医療保護入院に切り替える。

4 緊急措置入院では精神保健指定医の診察なしで72時間に限り入院させることができる。

5 応急入院では、自傷他害のおそれがあると認められ、急速を要する場合72時間に限り入院させることができる。

 

入院形態についての制度は、人権がかかわるので精神保健福祉法の中でも重要です。
法律が必要になるのは、医療及び保護のために入院が必要にもかかわらず、本人の同意が得られない、あるいは緊急を要する場合などです。

〇 問題文にそって入院形態を整理しながら回答していきます。

(1)任意入院は、本人の同意による入院形態で、任意入院の場合、原則として本人の申し出によって退院できます。

問題文1は、精神保健指定医の診察の結果、入院を継続する必要があると判断された 場合の対応で正解です。ここで押さえておかなければいけないことは、精神保健指定医が必要だと判断していることと、72時間に限って退院を制限できるという点です。

(2)医療保護入院(問題文2)は、医療及び保護が必要にもかかわらず本人の同意が得られない場合の対応です。

医療及び保護のために入院が必要であると判断するのは、精神保健指定医です。問題文の精神保健指定医2名が認めていることは、正しいのですが、家族の同意が不要としていることが誤りのため×になります。このケースは、本人の同意がなくても「家族等」の同意によって入院させることができます。

2013年(平成25年)の法改正により、医療保護入院における「保護者」の要件がなくなり、「家族等」になりました。この改正は、国会でも賛否に関する激しい議論があったそうです(東海大学吉川先生談)。改正も比較的新しいので、「家族等」に関する出題もあるかもしれません。

※家族等とは:配偶者、親権者、扶養義務者、後見人または保佐人(この名称は、公認心理師法第3条にも使われていますから、覚えておきましょう。)

 

(3)措置入院(問題文3)は、傷害事件が多発している今日「自傷他害」という言葉とともにしっかり覚えておきたい入院形態です。

措置入院は、精神障害があり自傷他害の怖れが認められる者に対する、都道府県知事の権限による入院形態です。そして、措置入院の解除は、自他障害の怖れがないという精神保健指定医による判断、あるいは精神医療審査会による職権の適応があった場合になされるもので、家族の同意によるものではないため、問題文3も誤り×です。

 

(4) 緊急措置入院(問題文4)は、措置入院の必要があり、緊急を要する状況にあるにもかかわらず、措置入院の手続きがとれない場合の入院形態です。
この場合は、1名の精神保健指定の診断で措置入院が必要と判断されれば、都道府県知事は、72時間を限度として、本人や家族等の同意がなくとも入院させることができます。問題文は、精神保健指定医の診察が必須のことから誤り×です。

 

(5) 応急入院(問題文5)は、「自他傷害」の怖れは対象条件ではないので誤り×です。

応急入院は、意識障害や昏迷状態にあり入院させなければ患者の予後が著しく悪化すると判断されるようなときに適応されます。応急入院が適応された場合、都道府県知事が指定した応急入院指定病院の管理者は、72時間を限度として患者を入院させることができます。


それでは、応用問題として精神保健福祉士試験の他の問題を解いてみてください。

 

問題 「精神保健福祉法」に規定されている入院に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

(1)精神科病院の管理者は,精神障害者を入院させる場合,本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。

(2)任意入院は,精神保健指定医の診察により24時間以内に限り退院を制限することができる。

(3)医療保護入院は,本人の同意がなくても家族等のうちいずれかの者の同意に基づき行われる。

(4)医療保護入院は,患者に家族等がいない場合都道府県知事の同意により入院させることができる。

(5)措置入院は,自傷他害のおそれがあると認めた場合,警察署長の権限により入院させることができる。

 

最後に、提案を一つさせていただきます。

WEB講座の吉川先生ご担当の制度に関する講演録を再度ご覧ください。見ていただきたいのは、NO6の地域保健法・精神保健福祉法の9分24秒から17分10秒までの8分間です。

ご覧いただくことで、入院形態についての理解を深めて下さい。
(応用問題は、2、4,5が間違いだということが分かれば正解できます)

7月21日(土)~22日(日)に直前受験対策の講座がありますが、吉川先生から21日(土)にブループリントの19と23の制度に関する講義があります。
次回は、先生のお話を伺っての感想をご報告したいと思います。
では、また。

 

 

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