やり取りの分析
     交流パターン分析(やりとりの詳細)

 

 交流分析の4つの方法の一つで、二者の自我状態の間で取り交わされる刺激と反応を矢印で示し、分析することをいいます。

 すべての「やりとり」は次の3つのいずれかに分類されます。

相補的交流:二者間の矢印が平行線になり、両者は緊張することなくコミュニケーションを続けるもの(例:情報の交換)。

交差的交流:二者間の矢印は交差し、やりとりは 発信者に戻らないかぎり緊張が高まって中断するもの(例:親子の断絶)。

裏面的交流:表面のメッセージの裏に心理的メッセージが隠されている交流で二者のやりとりは実線と点線の2つで描かれるもの(例:ホンネとタテマエ)。

 日常生活では一般に相補的交流が望ましいとされていますが、それが退屈をもたらすほど長く続くときは、交差的交流で意図的に中断することができます。

 交流分析では、裏面的交流が習慣化して、最後にきまって不快な感情をもって終わるものを「ゲーム」と呼びます。

相補的交流
complementary transaction


 

 交流パターンの一型で、適切で期待どおりの交流となり、健康な人間関係の自然な道理にかなうものです。

 この交流では、刺激と反応が互いに平行線となります(図)。

例えば、子どもが母親に対して、「ママ、いま何時?」と聞いたのに対し、母親が「7時45分ですよ」と答えています。ここでは、2つの A が互いに会話を行い、交流はスムーズに運んでいます。

 相補的交流には次のコミュニケーションの第1の原則が伴います 「ベクトルが平行線になるときには、その話題に関するコミュニケーションはいつまでも続く可能性がある」

交差的交流
crossed transaction




 交流パターンの一型で、図aのように、ベクトルが交差するため、刺激に対して予想外の反応がなされるものです。

 例えば、患者が医師に対して情報を求める目的で、「この薬はどういうふうに効くのですか?」と尋ねたとします。これに対して医師がその P から患者の C に向かって、「患者は黙ってそれを飲めばいいのです」と答えたとします。ここで少し緊張が生じ、対話は一時中断します。

 交差的交流には、コミュニケーションの第2原則が伴います。すなわち、「やりとりが交差すると、結果としてコミュニケーションが途絶え、それを再開するには、一人または両者が自我状態を移行させる必要がある」というものです。

 なお、異なったレベルの自我状態の間でベクトルが平行線になる場合も、交差交流と見なされます。

裏面的交流(隠されたやりとり)
ulterior transaction


 

 交流パターンの一型で、社交レベルの交流と心理レベルの交流の両方が同時に行われるものです。

 例えば、入院した患者が治療者に贈り物をしたり、それが高価だったりする場合です。

 直線が示す言語による交流は、一見、明白なメッセージを伝えています。これに対して点線(心理的レベル)は、「私を他の患者よりも、よくして欲しい」という C からのメッセージを送っている可能性があります。 

 裏面的交流には、コミュニケーションの第3の原則が伴います。すなわち「裏面的交流による行動の結果は、社交レベルではなく、心理レベルで決定される」のです。




・相補的交流
・交差的交流
・利面的交流(隠されたやりとり)





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