カープマンのドラマ三角形

 

 TAでゲームというのは、日常生活、職場、あるいは家庭生活などいろいろな場面で繰り返される人間関係の悪循環のようなものです。

 カープマンは下記のような図で、ゲームを演じる人は迫害者(P)、犠牲者(V)、救済者(R)の三つの役割の間を移動するという心理ゲームのからくりを示しました。






 ゲームを演じる人は、それぞれ、下記のような役割を果たします。

 迫害者:排他的で、相手を見下したり、ミスを正そうとする役割。

 犠牲者:他者の助けを誘うような無力さが特徴で、三者のうち
       最も強力な役割。

 救済者:相手の自立・自助を損ない、依存心を高める役割。


 ふつう、ゲームを演じる人は、これらの三つの役割を交替しながらストロークを交換します。

 たとえば、母親を罵倒している息子がいるとします。
この場合、母親は被害者で息子は迫害者です。

 母親は、父親に助けを求めます。
この時、父親は救済者としてかけつけます。

 父親は息子に対して最初は物静かに注意をしていますが、息子の口答えのひどさやふてくされた態度に、とうとう我慢が限度に達し、息子を怒鳴ったり、なぐったりしてしまいます。

 その時点で、それまで迫害者だった息子が今度は被害者になり、救済者だった父親が迫害者に変わることになります。

 さらに母親が「お父さん、そんなに太郎を怒らないでー。もういいから。」などと言いだすと、訳がわからない状態になりますね。

 いつの間にか母親は救済者の立場を演じているからです。



 このように、迫害者が救援者になり、救援者が迫害者に変わり、迫害者が犠牲者になるような状態をドラマ三角形と呼んだわけです。

 皆さんにも思い当たる経験があるのではないでしょうか。
カープマンは、自らすすんで犠牲者になる人がいなければゲームは成立しないとし、犠牲者の立場を中心にゲームを考えました。

 このような非建設的な役割を演じていないかどうか、まず気づくことが、ゲームを止めるポイントです。







Copyright (C)1996-2015 Team Iryo Inc. All rights reserved.