Transactional Analysis News 224

index No.23

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Transactional Analysis News 
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○○■○■○■○ ●交流分析メールマガジン 第224号     2014/07/30 
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○○■○■○■○ http://www.iryo.co.jp/ta-net       1,906部に発行 
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 みなさま、こんにちは。 

  全国で梅雨明け宣言がなされ、夏本番となりました。
  当初冷夏と予報されていましたが、厳しい暑さの地方もあるようですね。

  暑さも度を越すと「ストレス」要因となります。
  暑くてイライラしてつい短気になって、言わなくていいことまで言ってしま
  い、人間関係がギクシャクしてしまわないように注意したいものですね。
                               (森山貴代) 
 
■CONTENTS■────────────────────────── 


【1】セミナー情報: 
    
  (1)「プライマリケア医とカウンセラーのための一日研修
            入門『心療内科診療実践講座』」  

  (2)「人格適応論を自分のために使うには
      〜人格適応タイプを見極めて、自分に磨きをかける〜」
 
【2】コラム:「ストローク不足が招いた悲劇と幼児性」
  


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 セミナー情報(1)「プライマリケア医とカウンセラーのための一日研修
                 入門『心療内科診療実践講座』」  
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  ストレス病の増加により、いまや病気の8割に何らかの心理的な要因がある
 と考えられています。
 そして、これまでの診療でなかなか治らなかった患者さんも、心療内科的な
 対応により、症状が軽減する、すっかり良くなるということも少なくありま
 せん。

 プライマリケア医や心理カウンセラーの方々が、心療内科的な対応を学んで
 いただき実践していただければ、メンタル不調の予防に貢献していただくこ
 とができます。

 講師の芦原先生は、平成2年に中部労災病院の心療内科開設以来、多くの患
 者さんを診てこられました。
 また、心療内科のチームの一員として心理カウンセラーの方々を加えた治療
 構造を確立されています。

 本セミナーで、心療内科的な対応の具体的なノウハウを学んでいただきたい
 と願っています。交流分析もその1つとして取りあげる予定です。



   講 師:芦原睦
       (中部労災病院心療内科部長 勤労者メンタルヘルスセンター長) 
       
   日 時:2014年9月6日(土)10:00〜16:00

   会 場:品川区総合区民会館 きゅりあん 6F 中会議室(東京都品川区)
   
   参加費:ホームページにて申込受付 1名21,600円(資料代・消費税込)
        一般(電話・FAX・郵送申込)1名23,760円(資料代・消費税込)

       「心のスペシャリストの秘訣」スペシャリスト(有料)会員、
      及びメンタルヘルス協会会員 1名19,440円(資料代・消費税込)

       【いずれも予約前納制】


               
   詳 細:  http://www.iryo.co.jp/cp/MMT-S2080-A1.html   


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  内容:
   1.プライマリケアにおけるストレス病患者と効果的な問診・面接 
   2.ストレス関連疾患と心理テストの使い方 
   3.心身症とその他の病気の判別のポイント 
   4.ストレス病と心理療法 〜交流分析・自律訓練法〜 
   5.薬物療法 
   6.運動器の痛みへの心療内科的対応 

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 ▼ お問合せ:株式会社チーム医療 
    http://www.iryo.co.jp/index.php?main_page=contact_us 



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 セミナー情報(2)「人格適応論を自分のために使うには
           〜人格適応タイプを見極めて、自分に磨きをかける〜」
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 人格適応論は交流分析的人間理解を基に発展した理論です。

 Vann Joines 氏によれば、人の性格は幼児期に肉体的、心理的に生き延びる
 ために、または、自分にとって重要な人の期待に沿うために適応してきた結
 果として生み出された、その人らしい生き方のスタイルと言われています。

 大人になった今、こうした適応が自分にとって何故必要だったのかを理解す
 ることによって、自分の適応の肯定的強みを活かし、否定的側面を手放すこ
 とができるようになります。

 人格適応論がわかると、自分や他の人の理解が深まります。
 自分や他の人の苦手なことがわかるので、さまざまな手を打つことができる
 ようにもなります。

 このワークショップでは、まず、人格適応論の基礎を理解します。
 そして、自分の人格適応タイプを体験的に見極めます。

 自分の否定的側面を解放し、強みには磨きをかけ、今の自分にフィットした
 新しい生き方のスタイルを見つけませんか。

 実習もまじえた楽しい学びから「私の仕事に、生活に、こうやって役立てら
 れる!」という感覚をつかんでいただけるような2日間にしたいと思ってい
 ます。
                          (講師:鈴木佳子)


 

   講 師:鈴木佳子
       (国際交流分析協会認定交流分析士(PTSTA))
       (日本交流分析学会理事)
       (東京経済大学 学生相談室、臨床心理士)
          
   日 時:2014年9月20日(土) 10:00〜16:30
            21日(日) 10:00〜16:30

   会 場:ゆうぽうと カルチャープラザ 5Fはまゆう(東京都品川区)
   
   参加費:ホームページにて申込受付 1名43,200円(資料代・消費税込)
        一般(電話・FAX・郵送申込)1名47,520円(資料代・消費税込)

       「心のスペシャリストの秘訣」スペシャリスト(有料)会員、
      及びメンタルヘルス協会会員 1名38,880円(資料代・消費税込)


               
   詳 細:  http://www.iryo.co.jp/cp/MMT-S2071-A1.html   


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  内容:
   ・人格適応論とは 
   ・人格適応論でできること
     −自分のために 〜 ストレス状態から早く抜け出す 
     −他の人のために 〜 クライアントが安心する近道をさがす 
   ・人格適応タイプを見分ける
     実習:自分のタイプ・傾向を知る 
   ・人格適応論の使い方
     −自分の強み、弱みの由来を知る 
     −自分の弱みとのつきあい方、強みの活かし方 

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 ▼ お問合せ:株式会社チーム医療 
    http://www.iryo.co.jp/index.php?main_page=contact_us 




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 コラム:「ストローク不足が招いた悲劇と幼児性」

   ★交流分析やコミュニケーションについて、ともに学びあいませんか?★ 
      ご意見・ご感想は… 森山貴代 moriyama@iryo.co.jp 
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  交流分析では、人が他者と関わるのはストロークを求めているからとしてい
  ます。

  「人生の目的はストロークを得ること」とまで言います。



  ストロークとは、

    「ある人の存在や価値を認めるための言動や働きかけ」と

  定義されています。
  
  (TAネットワーク  交流分析の基礎用語
    http://www.iryo.co.jp/ta-net/yogosyu/y2-07STROKE.htm  )



  身体の成長を促し健康を保つために栄養が大切なのと同様、心にも「心の栄
  養=ストローク」が必要なのです。

  もらうと嬉しくなったり心の成長にもつながる「(無条件の)プラスのスト
  ローク」で満たされてきた人は、自己信頼・他者信頼感が強く、ストローク
  を求めるだけでなく与える人であると言えましょう。

  様々な形でストローク交換をしたり、得ようとするのが私たちの常です。

  例えば気を引くようなことを言ったりしたり、
  「私って頑張ってるよね」ということに同意してもらおうとしたり、
  「俺ってダメなんだ」と言い「そんなことない」と返してもらおうとしたり、
  「その服似合ってるわ」と言い「あなたも」と返ってくることを期待したり、
  笑わせたりからかったりして、何らかの反応や関心を得ようと試みたりもし
  ます。

  プラスのストロークが得られなければ、無視されるよりはマイナスストロー
  クの方がマシという、飢餓状態になれば苦手なものでも食べるということに
  似たカラクリに陥ることもあります。

  わざと怒られるように会話の邪魔をする子ども、万引きなどをして怒られた
  り気にかけてもらう子ども、ミスや遅刻などを無意識に繰り返す労働者…。


  
  最近のニュース記事で、次のようなタイトルのものが私の目を引きました。

  
  1:動機「褒められるため」 春日部の特養虐待死、元職員に懲役10年求刑
     (埼玉新聞7月25日(金)18時38分配信)
      http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140725-00010004-saitama-l11

  2:「もっとほめられたくて殴った」元職員、起訴内容認める 
        特養施設連続不審死
     (産経新聞7月23日(水)13時43分配信)
      http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140723-00000536-san-soci



  4年ほど前に埼玉県内の特別養護老人ホーム入居者が相次いで死傷した事件
  があり、その裁判員裁判初公判が最近行われたそうです。

  そこでの被告の動機が、上記2つの記事によりますと、次のようなものだっ
  たというのです。

  ・「介助時に年下の先輩から注意を受け、認められたい、評価を得たいとい
     う気持ちになった。異常をつくって褒められようと思った。」
    「そのときは組織の評価の方が大事だった」(ニュース記事1)

  ・検察側の指摘によると「事件前に別の入居者の体調の異変に最初に気付き、
    施設長からほめられた被告が、もっとほめられるために入居者を殴って異
    変を伝えようと考えた」とのこと(ニュース記事2)



  「褒められたい」「認められたい」ために、人を殺めたり傷つけてしまうと
  いう思考の飛躍は理解に苦しみます。

  そして、2つのことを考えました。

  一つは、道徳的判断を誤ってしまうほど「ストローク飢餓」の状態だったの
  だろうか?  という点。

  もう一点は、人を犠牲にしてまでも「褒められたい」「認められたい」とい
  う欲求を満たそうとする、他者への配慮のない幼児性を感じます。

  ちなみに被告は30歳だそうです。

  交流分析で言うところの「A」が相当低くて機能していないか、排除されて
  いるとみなすことができるかもしれません。

  それだけでなく、道徳観や良心、理想とも関係のある「P」すらも排除され
  ている可能性があります。



  この人の人生において、これまでどのような人間関係やストロークのやり取
  りが行われてきて、このような自分のニーズのためには手段を選ばないとい
  う行動に至るほどプラスのストロークを求めたのかが気になります。
    
  また、この犯人の動機は、事件前に入居者の体調異変に気付いた際に施設長
  から褒められたこともその一つだと報道されています。

  「行動・行為」に対するストロークや、「相手の期待に沿った時だけ与えら
  れる」ストロークは、「条件付き」でしかありません。

  その人の「人格や存在そのもの」への「無条件のプラスのストローク」と比較
  すると、与えられた時の喜びははるかに劣ると思うのですが、それでも被告は、
  そんなことまでして「条件付きのストローク」が欲しかったのでしょうか?

  これまでの人生で「無条件のプラスのストローク」を得てきた実感がないので
  しょうか?

  これはあくまでも、ストロークの理論の勉強のための私の勝手な想像です。



  人を殺めたという罪は許しがたいことですが、「渇望」という言葉が浮かんで
  くるほどのストロークを求める行為の背景に何かがあるかもしれないと思うと、
  こういう事件が繰り返されないように、せめて交流分析を学んだ人は日々身近
  な人へより良いストローク与えることを意識していくことが一つの抑止力にな
  るのではないかと思いました。

  また、そういう意味では、交流分析のすべてを深く知るまでの必要はないにせ
  よ、一般教養としての「ストローク理論」が学校や会社で必須にならないかと、
  こういう事件を見聞きするたびに私は思うのでした。



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