Transactional Analysis News 151

index No.16

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Transactional Analysis News
 ■■■ ■
  ■ ■ ■  ●交流分析メールマガジン 第151号     2008/06/27
  ■ ■■■ 
  ■ ■ ■  http://www.iryo.co.jp/ta-net       2,566名に発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 こんにちは。6月も終わりに近づき、「あぁ、今年も半分過ぎようとしてい
 るのか」とふと我に返る今日この頃。夏至も過ぎ、今が1年で一番日が長い
 のですね。
 
 夜になると近所の丘からコノハズクの鳴き声も聞こえてきます。
 夏の夜を感じてホッとできるひと時がうれしいです。    (森山貴代)


■CONTENTS■──────────────────────────


【1】セミナー情報:
   
  (1)ゲシュタルトワークショップ:「身体感覚」からの気づき

  (2)NPO法人アサーティブジャパン代表理事 森田汐生先生による
     アサーティブネス・トレーニング(基礎講座)

  (3)よりよい人間関係とコミュニケーションスキル
      BCB1日入門セミナー in 福岡


【2】イベント情報:

     株式会社チーム医療 創立三十周年記念特別講座のご案内
      ジョセフ・オコナー氏をお招きして


【3】コラム:「ないことにされた私」



■□■─────────────────── Transactional Analysis News

-----------------------------------------------------------------------
 セミナー情報(1)ゲシュタルトワークショップ:「身体感覚」からの気づき
-----------------------------------------------------------------------

 
 精神分析医フレデリック・パールズとゲシュタルト心理学者ローラ・パール
 ズによって創られた「今、ここ」での気づきを重視する実践的な心理療法で
 す。

 ゲシュタルトとは、まとまった全体という意味のドイツ語です。
 人間の外部の世界をバラバラな寄せ集めとして認識するのでなく、意味のあ
 る一つのまとまった全体像として構成し、認識します。

 ゲシュタルト療法は、交流分析では「TAゲシュタルト」「再決断療法」とし
 て脚本分析へのアプローチの方法として用いられています。

 ークによる気づきの体験を通して、人生の可能性を広げたり、カウンセリン
 グ・コミュニケーション技術を、より自分の物にすることを目指します。



  講 師:百武 正嗣(東京理科大非常勤講師
            NPOゲシュタルトネットワークジャパン理事・講師)
      
  日 時: 平成20年7月5日(土)9:30〜17:00
             6日(日)9:30〜16:30
       

  場 所: ゆうぽうと5階 カルチャープラザ たちばな (東京品川区) 

  参加費: 1名 42,000円(資料代・消費税込)
        webからのお申込は1名 39,900円(資料代・消費税込)
       いずれも【予約前納制】

  お申込み・詳細: http://www.iryo.co.jp/q547.html 

  -------------------------------------------------------
  
  内容:
    1.ゲシュタルト療法の理論について
  
    2.気づきの3つの領域
    ◎気づきのレッスン
    ◎思考領域、内部領域、外部領域のレッスン

    3.ゲシュタルト療法の技法のいくつか
    ◎エンプティチェア・テクニック
    ◎からだの気づき
    ◎未解決な問題
    ◎インナーチャイルド
    ◎症状のワーク
    ◎夢のワーク

  -------------------------------------------------------



 ▼ お問合せ:株式会社チーム医療
   http://www.iryo.co.jp/index.php?main_page=contact_us




■□■─────────────────── Transactional Analysis News

-----------------------------------------------------------------------
 セミナー情報(2) NPO法人アサーティブジャパン代表理事森田汐生先生の
          アサーティブネス・トレーニング(基礎講座)
-----------------------------------------------------------------------

 チーム医療主催限定の、森田先生の基礎講座が開催されます。

 「アサーティブネス」とは、自分も相手も大切にした誠実で対等・率直なコ
 ミュニケーションの理論と方法論です。
 
 本講座は、
 
  1.「アサーティブネス」の考え方の基本を理解する
  2.よりよい人間関係づくりのためのコミュニケーションにおける、聴くこ
   と・話すことについて学ぶ
  3.ロールプレイを使った具体的な練習を通じて、より誠実で率直なコミュ
   ニケーションの方法を身につける
  4.自己認知を深め、よりアサーティブな人間関係づくりを促進する能力を
   養う

 以上のことを目的に、レクチャーを中心とした講義、小グループによるディ
 スカッション、役者割(ロールプレイ)を中心とした実際的な練習の組み合
 わせによる参加型講座(ワークショップ)です。



  講 師:森田汐生(もりたしおむ)
          (特定非営利活動法人アサーティブジャパン 代表理事)
      
  日 時: 平成20年7月19日(土)9:30〜17:00
             20日(日)9:30〜16:30
       

  場 所: 島根イン青山 2F・パインコート (東京都港区)  

  参加費: 1名 42,000円(資料代・消費税込)
        webからのお申込は1名 39,900円(資料代・消費税込)
       いずれも【予約前納制】

       【応用講座(12月開催)】を同時にお申込頂くと
       通常価格 81,900円(税込)のところ   
       →セット価格78,750円(税込、 3,150円引)

  お申込み・詳細: http://www.iryo.co.jp/q560.html 

  -------------------------------------------------------
  
  内容:
   ●アサーティブネスとは(講義)
   ●コミュニケーションの4つのパターン
   ●自己主張することの権利と責任について
   ●率直に頼む/気持ちを伝える(アサーティブネスの基礎 1)
   ●「ノー」と言ってはっきり断ること(アサーティブネスの基礎 2)
   ●ほめること・ほめられること(アサーティブネスの基礎 3)
   ●まとめ  


  -------------------------------------------------------



 ▼ お問合せ:株式会社チーム医療 
   http://www.iryo.co.jp/index.php?main_page=contact_us




■□■─────────────────── Transactional Analysis News

-----------------------------------------------------------------------
 セミナー情報(3)よりよい人間関係とコミュニケーションスキル
           BCB1日入門セミナー in 福岡
-----------------------------------------------------------------------

 エーブ・ワグナー先生の開発したBCB(Breaking The Communication Barrier)
 とは、
  ・わかりやすい対人関係と自己理解の心理学「交流分析」
  ・自分が望む良い状態を手に入れるための心理学「NLP(神経言語プロ
   グラミング)」
 を組み合わせた効果的で実践的なコミュニケーションスキルです。

 今回は、日本人ファシリテーターにより、福岡で開催されます。

 ファシリテーターたちのブログ紹介コーナーで、各人のお人柄をうかがえます。

     「 BCBファシリテーターのブログ紹介コーナー」
        http://www.bcb.jp/facili/bloglist-main.html  



     
  日 時: 平成20年7月19日(土) 10:00〜16:30

  場 所: 福岡朝日ビル B1F・11号会議室(福岡市博多区)

  参加費: 1名 18,900円(資料代・消費税込)
        webからのお申込は1名 16,800円(資料代・消費税込)
       いずれも【予約前納制】


  -------------------------------------------------------
  
  内容:
    1.よいコミュニケーションに役立つTAとNLPのスキル
    2.よりよいコミュニケーションには何が必要か?
    3.効果的なコミュニケーションのテクニックとそのトレーニング
    4.よりよい人間関係のためのBCB戦略

  -------------------------------------------------------

  詳細・お申込みはこちらから: http://www.iryo.co.jp/q800.html 



 ▼ お問合せ:株式会社チーム医療 
   http://www.iryo.co.jp/index.php?main_page=contact_us




■□■─────────────────── Transactional Analysis News

-----------------------------------------------------------------------
 イベント情報:株式会社チーム医療 創立三十周年記念特別講座のご案内
-----------------------------------------------------------------------


 このメールマガジンを発行していますチーム医療は今年度創立30周年を迎
 えます。それを記念して、世界的に知られているNLPとコーチングのトレー
 ナーであるジョセフ・オコナー氏を招聘し、ご講演をお願いいたしました。

 
 ・ICC国際連盟認定コーチ取得講座(8日間連続)
 ・NLPコーチングセミナー(2日間連続)

 オコナー氏は今回初来日です。どちらのセミナーも一流のコーチから学ぶこ
 とのできるまたとないチャンスだと思います。

 WEBからのお申し込みは特別割引を実施しています。(6月末日まで)
 詳しくは
  http://www.iryo.co.jp/joseph/joseph-training.htm をご覧ください。




■□■─────────────────── Transactional Analysis News

-----------------------------------------------------------------------
コラム:「ないことにされた私」
-----------------------------------------------------------------------


 
 今月上旬、まだ記憶に新しいあの秋葉原の通り魔事件は、とてもショッキン
 グなできごとでした。

 容疑者の事件前の言動、生い立ちなどについて、いろいろ情報が行きかって
 いて、私もいくつかの記事を読んでみました。

 中には、識者が容疑者について分析しているものもあり、その中で印象に残っ
 たコメントがあります。



  【秋葉原通り魔事件】「酒鬼薔薇」世代、教育の落とし穴(産経ニュース)
  http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080621/crm0806212257025-n1.htm
  http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080621/crm0806212257025-n2.htm

 ----------------------------------
   ■「いい子」の虚像

   「子供たちはなぜ暴力に走るのか」などの著書がある評論家の芹沢俊介
   氏は、加藤容疑者が携帯電話サイトの掲示板に「親が書いた作文で賞を
   取り、親が書いた絵で賞を取り」「俺(おれ)が書いた作文とかは全部
   親の検閲が入ってたっけ」などと書き込んでいたことに注目する。

   「小中学校で周りから高く評価されても、『それは自分じゃない』とい
   うギャップに苦しんだのだろう。教育熱心な家族の中で架空の『いい子』
   にされ、加藤容疑者は存在論的に“殺された”のではないか」
 ----------------------------------



 この記事を読んだ後、事務所の本棚をボーっと眺めていて、「魂の殺人」と
 いう25年前に発行された本が目に留まりました。

 話題になった本だとは知っていましたが、今まで読んだことがありませんで
 した。「魂の殺人」というタイトルに引っかかって、紐解いてみました。

 生きながらにして自分らしく生きることを許されなかった子ども達の話でし
 た。

 教育、躾という名のもとに、大人たちに都合のいいふるまいをするよう強制
 されたり傷つけられ、その悲しみや苦しみを表現する機会を奪われた子ども
 達は、その時の自分を抑圧して生きていくのだと。

 その抑圧したものは、病的、あるいは、問題的な行動として再現されるといっ
 た内容です。


 
 杉田峰康先生の講座で聞いた言葉を思い出しました。

  ・・・「ないことにされた私」・・・


 
 本来「私」の一部である感情などをいことにして(押し殺して)、「あわせ
 る私(=AC)」としてふるまっていかないと、親の愛が得られない。

 こういう事を「魂の殺人」と呼ぶのかもしれないと思いました。



 秋葉原通り魔事件の容疑者もまた、ACがメインで生きてきたように思えます。
 事件当日にネットにこう記していたとのことです。

  「いい人を演じるのには慣れてる みんな簡単に騙される」
  「大人には評判の良い子だった 大人には 友達は、できないよね」



 「魂の殺人」の著者、アリス・ミラーは著書の中でこう記しています。
  
  「子どもを教育すればその子は教育を学ぶのです。

   子どもに道徳のお説教をすればその子は道徳のお説教をすることを学び
   ますし、戒めれば戒めることを学びます。

   子どもをののしればこどもはののしることを学び、嘲り笑えば嘲笑する
   ことを学びます。

   子どもを傷つければ子どもは人を傷つけることを学び、子どもの魂を殺
   してしまえば、子どもも殺すことを学ぶのです。

   そうなったとき子どもにはただ殺す対象に関しての選択の余地が残され
   るだけです。自分を殺すか、他人を殺すか、それとも両方か。(p.126)」


  「どんな人でも一生、もちろんその一部である児童期にも、山のような欲
   求不満を抱えているものです。(〜略〜)

   ただ、欲求不満で苦しんだからといってすぐに心理的に病気になるわけ
   ではなく、自分が味わわされた(註:原文ママ)欲求不満による痛み、
   苦しみを体感し、表現することを禁じられた時はじめて心が病み始める
   のです。
  
   このような禁止は多く両親が言い渡すもので、ほとんどの場合には両親
   の心の防壁を固めるために出されます。(p.333-334)」


 TAでいう「感じるな・考えるな」「重要であるな」など、さまざまな禁止令
 の存在が想像できます。



 この本に出てくるケースは、親からひどい虐待や人としての尊厳を壊すよう
 なひどい扱いを受けたものが多く、例としてアドルフ・ヒットラーや猟奇的
 殺人の犯人などが登場して、自分の日常からはかけ離れた世界の話のように
 も感じてしまいました。
 
 しかし、今私が読みかけているアリス・ミラーの別の書籍「新版 才能ある
 子のドラマ 真の自己を求めて」で、程度の差はあれども、「ないことにさ
 れた私」は多くの人の中に存在するであろうという気がしています。
 
 私自身の中にもいることがわかるからです。

 この本で言う才能とは「他の人間の発する無意識の欲求信号に敏感に反応す
 る感覚」が鋭いことのようです。つまり、ACが非常に高いともいえましょう。

 このような才能がありすぎて、自分の感情や欲求を後回しにして自分が何者
 かわからなくなってしまうのは不幸なことだと私は思います。

 実際、私自身の子ども時代がそうでした。
 楽しくイキイキしている時もあるのですが、特に思春期はうつ状態で空しい
 気分に覆われている時も多かったことを思い出します。

 今でもたまに、理由もなくゆううつで、自己否定的な気持ちに襲われること
 があります。
 私の中の「ないことにされた私」からのメッセージかもしれません。



 アリス・ミラーは述べています。
 
  「子どもは、誰か別の人がいて、あるがままの自分、さまざまなことを感
   じている自分をそのまま受け入れ、理解し、その自分に付き添ってくれ
   るのでなければ、感情を生きたものとしては体験できません。(p.15)」

 その「誰か」が、親であってほしいと示唆しています。

 また、過去は変えられず、子どもの頃に被った傷をなかったことにもできな
 いが、過去に何が起こったかを見つめ知ることで、それとともに生きる自分
 になれる。つまり、私たちはそれと意識せぬままに過去の犠牲になっている
 状態を脱して、自分に責任の持てる人間になれるのだとも言っています。


 
 8月には、恒例の、杉田先生による「脚本分析と再決断」のワークショップ
 が行われます。

 そこではまさに、禁止令により「ないことにされた私」にスポットを当て、
 それを総合していくワークが行われます。

 アリス・ミラーは、子どもを愛せない親、子どもを意のままにコントロール
 したがる親、不安や愛されたいという満たされない思いを子どもで満たそう
 とする親たちの心の中にも、彼らの親とのかかわりの中で押し殺してきたも
 の(=「ないことにされた私」)があるといったようなことも述べています。

 杉田先生は、かつてのワークショップで次のようなことをおっしゃいました。

   人間は成長していく過程で、“ないことにされた私”を外に出して
   祝福してあげる必要があるんです。

   参考情報:2006年3月の「セミナーレポート:脚本分析と再決断」
         http://www.iryo.co.jp/ta-net/ta-mm/back-no/124.htm



 より健全な社会を作る、健全な子ども達を育てるために、まずは大人一人ひ
 とりが、自分の中の「ないことにされた私」と向き合うことが必要なのかも
 しれません。


 

 末筆ながら、今回の事件で亡くなられた方のご冥福を祈ると共に、負傷され
 た方、ご遺族の方々にお見舞い申し上げます。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 発行元:インターネット交流分析研究会
 発行責任:森山貴代
 moriyama@iryo.co.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発
 行しています。( http://www.mag2.com/ ) 発行登録番号:0000006928
 このメールマガジンの他に『まぐまぐ』からの『ウィークリーまぐまぐ』も届
 くようになります。ご了承下さい。必要のない方は『まぐまぐ』のホームペー
 ジから解除できます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
  
 


index No.16