Transactional Analysis News 192

index No.20

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Transactional Analysis News
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○○■○■○■○ ●交流分析メールマガジン 第192号     2011/11/29
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○○■○■○■○ http://www.iryo.co.jp/ta-net       2,052部に発行
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 みなさま、こんにちは。
 気がつけば今年も残すところ後1ヶ月ほどとなり、寒さも身に染みるように
 なってきました。
 今号では、来年2月に開催予定の講座をご案内します。
                             (森山貴代)


■CONTENTS■──────────────────────────


【1】セミナー情報:
   
  (1)平木典子先生による
     「アサーション<自己表現>トレーニング(基礎−理論編)」
      〜相手も自分も大切にするコミュニケーション〜
 
  (2)「ラケット・フィーリングとオーセンティック・フィーリング」
      〜感情から知る自分と他人の理解・かかわり方
      

【2】コラム:「“草食系”について」



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 セミナー情報(1)平木典子先生による
         「アサーション<自己表現>トレーニング(基礎−理論編)」
          〜相手も自分も大切にするコミュニケーション〜
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  アサーションは自分も相手も大切にする自己表現であり、私たちの人間関係
 の基本となるコミュニケーションの考え方と方法です。

 今、私たちの家庭や職場では、コミュニケーションが少なくなった、下手に
 なったなどと言われています。

 そこには、自分の気持ちや考え方を伝えることができず、自分を疎かにして
 しまう話し方や、逆に自分の思いは伝えているものの相手を尊重してないコ
 ミュニケーションがあることが分かります。

 今回の研修では、日本におけるアサーションの第一人者である平木典子先生
 より直々にご指導いただき、アサーションとは何かについて、講義と演習で
 その理論的基礎を理解していただきます。

 その結果、アサーションとは単なるコミュニケーションの方法ではなく、対
 人関係の基本的姿勢の実践であることが理解していただけると思います。

 日頃のコミュニケーションをふり返り、よりよい人間関係と生き方を探る手
 がかりになることを期待しています。 

 また、交流分析が目指す「I am OK. You are OK.」の基本的構えへの実践的
 なアプローチの一つとして、学んでみませんか?
 


   講 師:平木典子
       (統合的心理療法研究所(IPI)所長)
       (日本家族心理学会常任理事、日本カウンセリング学会理事)
          
   日 時:平成24年2月11日(土) 10:00〜16:30
             12日(日) 10:00〜16:00

   会 場:ゆうぽうとカルチャープラザ 5Fはまゆう(東京都品川区)
   
   参加費:ホームページにて申込受付 1名49,350円(資料代・消費税込)
       一般(電話・FAX・郵送申込)1名51,450円(資料代・消費税込)
       【いずれも予約前納制】
                
   詳 細: http://www.iryo.co.jp/cp/MMT-S1942-A1.html   


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  内容:
   1.アサーション理論(演習を含む)
   2.人権と自己信頼(演習を含む)
   3.ものの見方とアサーション(演習を含む)
   4.言語上のアサーション(演習を含む)
   5.非言語上のアサーション

     (*プログラムの内容は一部変更される場合があります)

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 ▼ お問合せ:株式会社チーム医療 
    http://www.iryo.co.jp/index.php?main_page=contact_us 





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 セミナー情報(2)
      「ラケット・フィーリングとオーセンティック・フィーリング」
       〜感情から知る自分と他人の理解・かかわり方
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 自己理解を深めることは、自分自身の生きやすさにつながると同時に的確に
 他者を理解することにも役立ちます。

 このセミナーでは、感情をテーマに、自分と他者の理解やかかわり方につい
 て、エクササイズを楽しみながら学びます。
 
                    (鈴木佳子先生からのメッセージ)



 本講座では、交流分析の理論のラケット感情・オーセンティック感情の側面
 から、人とのかかわり方、人生脚本へ与える影響などの理解を深めていきま
 す。

 「オーセンティック(本物の、真の)」感情と、偽の感情であるラケット感
 情について学ぶことは、自己理解・他者理解に役立つことでしょう。


 

   講 師:鈴木佳子
       (国際交流分析協会認定交流分析士(PTSTA))
       (日本交流分析学会理事)
       (東京経済大学 学生相談室、臨床心理士)
     
   日 時:平成24年2月26日(日)10:00〜16:30

   会 場:ゆうぽうとカルチャープラザ 5Fはまゆう(東京都品川区)
   
   参加費:ホームページにて申込受付 1名20,000円(資料代・消費税込)
       一般(電話・FAX・郵送申込)1名23,100円(資料代・消費税込)
       【いずれも予約前納制】
                
   詳 細: http://www.iryo.co.jp/cp/MMT-S1944-A1.html   


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  内容:
   1.自分の感情について
   2.ラケット・フィーリングとは
   3.オーセンティック・フィーリングとは
   4.ラケット・フィーリングと人生脚本
   5.カウンセリングにおける感情

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 ▼ お問合せ:株式会社チーム医療 
    http://www.iryo.co.jp/index.php?main_page=contact_us 



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 コラム:「“草食系”について」

   ★交流分析やコミュニケーションについて、ともに学びあいませんか?★
      ご意見・ご感想は… 森山貴代 moriyama@iryo.co.jp
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 ここ数年、学生や子どもたちと関わる機会が増えてきて、もう少し発達心理
 なども勉強する必要性を感じたりしています。

 今月号のメルマガを書くためのネタ探しにと出先事務所の書棚を眺めていた
 ころ、「教育カウンセリングと交流分析」(杉田峰康:著、チーム医療:発
 行)という本が目に留まりました。

 パラパラとページをめくりながら見出しを眺めていて、ある章に興味を持ち
 ました。

 「やる気と交流分析(p.102)」です。

 その中の「“順応しすぎる子”のタイプ」という節は特に関心を持ちました。



 その節によりますと、“順応しすぎる子(=ACが高いといえましょう)”に
 は、大きく分けて二つのタイプがあると述べられています。


 一つ目のタイプは、

 「元来つよい感受性を備えているために、親や教師の要求を先回りして感じ
  取り、自分からこじんまりした大人になるといった形のもの」

  そのようなタイプは、大人の不機嫌な態度や叱責など、感情の交流をめぐっ
  て過剰な反応や深刻な受取り方を示す傾向があるようで、どちらかという
  と、環境よりもむしろ本人の側の素質と関係があるとしています。

  すなわち、一人相撲をとって、無理な順応をしている、ということのよう
  です。
 
  無理な順応をしているタイプで、その順応に破綻をきたすと、現状から身
  を引き、再度積極的に問題に取り組むのを避けてしまうことが多い、との
  こと。


 もう一つのタイプは、

 「本人が育った環境側に問題があり、やむを得ず“いい子(合わせ過ぎる)”
  として周囲に順応してきたタイプ」と紹介しています。

  子どもに不自然な順応を強いる外的要因として、親のどちらかが病弱であっ
  たり、父親がよく暴力を振るったりする家庭があげられていますが、本書
  が発行された昭和63年でいうところの「最近」、「とくに問題なのは、母
  親が子どもにべったりくっついている場合」という例も挙げられていまし
  た。 

  母子一体の関係を維持したがる傾向があるゆえに、子どもに自立を促す一
  方で、わが子の失敗や冒険に耐えられず、子どもが自発的に取り組むべき
  問題を先回りして解消してしまうケースのようです。

  この場合、母親だけが原因なのではなく、そのような子育てのありかたに
  異論を唱えず妻に子育てを頼り切っている父親の生き方にも問題があると
  指摘しています。 

  親がかばうことに安全な気持ちを得る子どもは、「自分の中の“自由な子
  (FC)”を極度に抑え、親の期待に沿おうとするあまり、何をすべきかに
  ついて、自分で考え、自分で決める機会をほとんどもたないままに育って
  きてしまう(p.107)」。

  つまりは、主体性が育っていないようなタイプと考えていいでしょう。



 杉田先生はまた、次のように続けておられます。

 「彼らは、それが親の期待であれば、勉強も運動もします。

  しかし、勝っても負けても、ケロッとした態度を示すのです。

  それは、親子密着の中で、戦う構えを身につけることがなく、自分の行動
  に関する目的意識を持っていないためなのです。

  目的意識のない若者から気力を要求するのは、所詮無理なことではないで
  しょうか。」

 
 本書は、それを踏まえて「モチベーション(やる気)」や「達成動機」につ
 いての考察へと続きます。



 このあたりを読みながらふと私の頭の中に浮かんだのは、「草食系」という
 言葉でした。

 草食系という言葉になんとなくイメージはあるけれど、どのように定義され
 ているのか、あらためて調べてみました。


 【草食男子】 (コトバンク:デジタル大辞泉)  

  「性格がおだやかで協調性に富み、恋愛や異性関係に対して執着の薄い男
   性。

   肉(肉欲)を求めないところから、草食動物になぞらえたもの。
   
   草食系男子。」 


 【草食系】  (コトバンク:知恵蔵2011の解説 )

  「恋愛に対して受動的で、物欲や出世欲も薄い、温厚なオトコの子のこと。

   シラケ世代(団塊世代の少し後)のジュニアで、20代〜30代前半の男子に
   見られる傾向を草食動物の性質になぞらえた表現。

   バブル崩壊後の長期不況期に少年時代を過ごした彼らは、背伸びするこ
   となく、あらゆることに淡泊。
 
   異性に対しては積極性に欠け、消費活動では、オレ様的な見えより、ボ
   ク的な心地よさや好みを優先する。

   エコ教育やジェンダー教育を受けてきた彼らはロハスな生活を好み、異
   性の友人や家族との関係も良好である。

   なかでも母親と仲良し。

   企業・団体の中にあっても、常識的な協調性は持ち合わせている。

   ただし、自分が傷つきそう、相手を傷つけそうなことには敏感で、無用
   なあつれきや競争は避け、異なる考え方や生き方にはいっさい干渉しな
   い。
  
   対義語は「肉食系」。」



 先ほどの書籍に紹介されていた「順応しすぎる子」のタイプと、共通する点
 が幾つかあったのが、興味深いです。


 「協調性に富む」=(ある意味「AC」が高いと考えることもできます。)

 「なかでも母親と仲良し」=(行き過ぎると母子密着になりかねません。)

 「自分が傷つきそう、相手を傷つけそうなことには敏感」=(「I am OK.」
  が低いとも考えられます。また、他者の反応に敏感なのも「AC」の特徴
  といえましょう。)


 
 20年以上も前に書かれた書籍と、現代の若者像に、似たような点があるこ
 とに驚きを感じます。

 そういえば、そのころ若者の「アパシー(無気力)」が注目されていたよ
 うに記憶します。

 草食系とは違うのでしょうけれど、意欲や主体性の低さを感じさせるテー
 マです。

  

 このところ不景気が続き、現代の若者は「生まれた時から不景気だった」
 こともあり、小さくまとまっていたり、主体性が低くあきらめムードが漂
 うようような印象があるのは、このような時代背景もあるのかもしれませ
 ん。

 しかし、それだけでなく、もし本書にふれられていたような親子関係もそ
 れに多少なりとも影響しているのだとすれば、そこには手を打つことはで
 きるのではないかと思いました。

 「時代」という大きな流れはなかなか個人の力は及びにくいものですが、
 家庭内、あるいは、身近な人同士の人間関係は、当事者のありかたによっ
 て変わっていく部分もあると信じています。

 草食系がいけない、とは思っていません。
 
 しかしながら、他者に合わせるばかりでなく、自ら他者にはたらきかけ、
 環境にはたらきかけ、自分の目標を持ち自分が望むものを手に入れ、さま
 ざまな個性ある他者と共に生きていく力を身につけていないと、生きる喜
 びや自己肯定感もうすぼんやりしたままにはならないか? と、私は懸念
 します。

 

 
 「合わせる私(AC)」が高すぎて、自分が何がしたいのか分からなくなり、
 生きる喜びが薄くむなしさの方が心を占め、生きる意味を探し求め、自信
 も自己肯定感も低く、生きづらさを抱えていた子ども時代を過ごした私は、
 自分を何かから守るために「合わせ“過ぎ”」てきた結果は、かえって自
 分を苦しめるものだったなぁと、子ども時代をふりかえりました。



 *参考・引用:「教育カウンセリングと交流分析」
        杉田峰康 著 / チーム医療 発行



 

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 発行元:インターネット交流分析研究会
 発行責任:森山貴代  moriyama@iryo.co.jp
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