Transactional Analysis News 117

index No.12

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Transactional Analysis News
 ■■■ ■
  ■ ■ ■  ●交流分析メールマガジン 第117号     2005/08/31
  ■ ■■■
  ■ ■ ■  http://www.iryo.co.jp/ta-net       2,515名に発行  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 みなさま、こんにちは。今月は配信が少し遅くなってしまいました。
 その間に季節は変わっていくのがわかります。
 私の地元神奈川県では「立秋」を迎えたらコオロギの鳴き声が聞こえ始め、
 「処暑」を過ぎたら涼しい風が吹き、今年は季節を感じやすい気候のような
 気がしています。

 今号は、今後のTAネットワーク主催セミナー情報や、新刊情報を中心にお届
 けします。
                             (森山貴代)

■CONTENTS■──────────────────────────


【1】本の紹介:「ワンダフル・カウンセラー・イエス」

【2】セミナー情報1:東海交流分析研究会・例会/TAネットワーク名古屋地方会
            〜人生脚本の理解とその対応〜

【3】TAネットワークからのお知らせ:
     ・交流分析協会静岡支部のホームページをリンクしました
     ・TAネットワークホームページにサイト内検索機能がつきました
 
【4】コラム:「“心の器”の中身(2)」




■□■─────────────────── Transactional Analysis News


【1】本の紹介:「ワンダフル・カウンセラー・イエス」     
            〜 福音と交流分析 〜


 交流分析の大家である杉田峰康先生が、敬虔なキリスト者であることはあまり
 知られていないかもしれません。

 本書は、2つのテーマで構成されています。

 前半は、聖書に書かれているイエス・キリストの姿から、カウンセリングにつ
 いて、カウンセラーのあり方について、聖書の事例をふまえながらまとめられ
 ています。

 無条件の肯定的関心、甘えと妬みについて、葛藤について、怒りについてなど、
 カウンセリングを学ぶ人であれば必要であるテーマについて書かれています。

 後半は、交流分析、ゲシュタルト療法、脚本分析を中心に、カウンセラー自身
 の「治療的自己」の育成と深まりを目的としても書かれています。

 杉田先生のカウンセラーとしての生きざま、指導者として何を大切にされてい
 るかをも感じさせられる1冊です。



  「ワンダフル・カウンセラー・イエス   〜 福音と交流分析 〜」

   著:杉田峰康
   発行所:一麦出版社  / 発行:2005年7月 
   定価:2200円(税別)


 
   *「治療的自己」
     
    =心身医学によって患者さんの援助にあたる人びとが目指す治療者像で、
     一般にカウンセリングなどで重視される「共感」(他者への感情への
     外面的な理解)を超えて、共に感じ、共に喜び、共に苦しむような内
     面的理解、患者さんとの同一化に達する「共鳴」を重視するものです。
    
     また、「治療的自己」では、このような体験レベルの共鳴と、自らそ
     れを観察するレベルでの客観視とのバランスの大切さを注目してまい
     ります。                       (本書より) 


■□■─────────────────── Transactional Analysis News


【2】セミナー情報1:東海交流分析研究会・例会/TAネットワーク名古屋地方会
            〜人生脚本の理解とその対応〜

 
 今回は「人生脚本の理解とその対応」というテーマについて考えてみたいと思
 います。

   
  講 師: 杉田 峰康
       (福岡県立大学名誉教授・同大学大学院講師)
       (日本交流分析学会理事長)

       芦原 睦
       (中部労災病院心療内科部長)
       (日本交流分析学会常任理事/同認定研修スーパーバイザー)

  日 時: 平成17年11月3日(木・祝) 10:00〜16:30 
  
  場 所: 名古屋国際会議場 2号館3F 234会議室(名古屋市熱田区)

  参加費: 一般 11,000円(資料代・消費税込)

       東海交流分析研究会
       TAネットワーク会員  9,000円(資料代・消費税込)


  -------------------------------------------------------
  内容:・脚本分析の源を探る
     ・再決断派による脚本分析(グールディングら)
     ・脚本治療(バーン)
     ・脚本分析に関しての質疑応答


   [詳細] http://www.iryo.co.jp/shinri/seminar/N80.htm
  -------------------------------------------------------



■□■─────────────────── Transactional Analysis News


【3】TAネットワークからのお知らせ:
      
 ●日本交流分析協会静岡支部のホームページをリンクしました


 日頃からお付き合いのある、交流分析協会 静岡支部のホームページができま
 したので、TAネットワークトップページから、リンクをはりました。

 
   日本交流分析協会 静岡支部
    http://www17.ocn.ne.jp/~jtaa0022/


 ●TAネットワークホームページにサイト内検索機能がつきました
  
 トップページの際下段に、Googleによるサイト内検索機能がつきました。

 これにより、お調べになりたいキーワードが、サイト内のどのページに掲載さ
 れているかがすぐにわかるようになりました。
 
 TA用語をはじめとした情報収集にお役立てください。
 
    http://www.iryo.co.jp/ta-net/



■□■─────────────────── Transactional Analysis News

【4】コラム:「“心の器”の中身(2)」
 
 
 「心が、体験やそれにまつわる気持ちを貯めていく器だとしたら…?
 それぞれの人の“心の器”には、どんなものがどれくらい入っているのかな?」
 
 時々そんなことを考えたりします。



 前回に引き続き、今回も、心の器の中身のことで最近気づいたことについて書
 いてみたいと思います。

 今回は、他者との「つながり感」についてです。

 この夏、見て、体験して、感じたことを書きたいと思います。




 この夏、沖縄の離島に行ってきました。
 夕日の写真を撮影することと、島のお祭りを見るためです。 

 その島には知人(仮にAさんとしておきましょう)がいるので、単なる外から
 眺める観光でなく、コミュニティに入って、肌でいろいろと感じさせていただ
 きました。



 お祭りは、島あげての行事なので、島の人たちの多くは何らかの「役割」を持
 ちます。
 当日に伝統的な踊りや武術の演武などいろいろな出し物があるため、その担当
 になった人たちは、それぞれ当日に向けて練習をするそうです。

 出し物の一つに「棒術」というものがあります。
 農民と武士の戦いを演武にしたものですが、2人一組になって笠や鎌など農具
 や槍・なぎなたなどさまざまな武器を持った若者たちが、勇ましい掛け声とと
 もにその闘いの様子を演じてくれました。
 棒術の演武はとても力強く、その祭りでの見せ場であり、演じる彼らは花形で
 あることがよくわかりました。とても素晴らしかった!!



 その若者たちの中に、今年初めて棒術をやるというAさんの息子さん(B君)
 がいました。
 B君は、沖縄本島で生まれ育ち、その島にはたまにAさんにつれられて帰省す
 るだけだったので、これまで本人が中心となった人のつながりは親戚の人以外
 は持っていないようでした。

 今年は、本番に向けての練習のために、一週間前から島に入り、初めてその棒
 術のグループに所属したわけです。
 そこは、同じ演武する立場である若者たちのほかに、ほら貝やドラの演奏をす
 る人、演武の指導をしてくれる先輩方などで構成されていました。

 高校生から、多分きっと50代くらいの方々まで、年齢層もさまざまでした。 
 演武する人たちも、高校生から30代までと幅広いものでした。



 お祭り当日の夜、この棒術のメンバーたちの慰労会に、途中からでしたが混ぜ
 てもらう機会を得ました。
 
 高校生から50代の人たち、そして、私のような部外者だけれども縁のある人た
 ち30人弱は、雨上がりの雲が流れていく夜空の下、広場の芝生にめいめいダン
 ボールの座布団を敷いて輪になって座り、飲み物やつまみに舌鼓を打っていま
 した。

 Aさんから、島の中で特にこの棒術のメンバー同士のつながりは強いものだと
 聞いていましたが、B君もすでに、メンバーの一員としてすっかり溶け込んで
 いる様子がうかがえました。
 彼自身を中心とした人のつながりを彼が獲得したことがよくわかりました。

 彼はもうAさんに“連れられる”ことなく、自分から進んでこの島に通うこと
 になるのでしょう。彼自身の「つながり」が持てたから。



 途中、中堅メンバーが、40代・50代の先輩方へ不満をぶつけるという場面があ
 りました。
 メンバーの援護をして発言する別の人、開き直ったような態度を取ってしまっ
 た先輩に「そうじゃなくて」と理解をうながそうとする人、横から口を挟もう
 とした人、それに対して「お前は今は黙ってろ」と場を調整する人・・・。
 ケンカになることなく、互いに率直に発言し、周囲には思いやりを持って見守
 る人たち…。そんなやりとりを、若者たちはじっと見ていました。

 また、役員交代の話のとき、後任に推薦された方がなかなか引き受けたがらな
 かったのですが、その人の言い分も聞きながら、条件を譲歩して引継ぎ時期を
 折り合って決めていくプロセスも、若者たちはじっと見ていました。
 
 あぁ、こうやって、若者たちは学んでいくんだなと、しみじみ思いました。

 同じ島で暮らしていく人同士がうまく人間関係を保っていくためのコミュニケー
 ションのあり方を、世代を超えた集団の中で学んでいく機会が、彼らにはある
 のです。

  
 
 彼らの中、そのグループの中の指導する側の一人に、Aさんのいとこで私と同
 い年のCさんもいました。B君からみたらおじさんにあたる人です。
 Cさんは16歳くらいから毎年棒術を演じ続け、つい最近、後輩にその役割を譲っ
 たのだそうです。
 指導を受ける側だったのが、今は指導をする側になっている。

 その長い年月の中で、先輩が去り、新しい後輩が入ってきても、彼らは「棒術
 のメンバー」という深い絆でつながり続けて行く・・・。
 そして、人と人のつながり方を学んでいく、伝えていく・・・。


 
 また、Aさんは、別の出し物の担当で、高校生の時に島を出てその後は帰省し
 てお祭りに参加しているのだそうですが、帰ればこういう仲間や先輩、幼馴染
 みがいる・・・。深いつながりを持っている・・・。

 Aさんに話を聞くと、自分はこの島で生まれ育ってよかったと、しみじみ語り
 ます。Aさんという人を形成する「土台」として心の中にあるのでしょう。
 
 

 お祭りでは、島の子どもたちも子ども向けの役割があって、相応にできること
 でお出し物に参加していました。
 そのような場に身を置くことで、家族だけでなく、島のお兄さんお姉さん、よ
 そのおじさんおばさんたちのコミュニケーションのあり方を肌で感じて学んで
 いくことでしょう。
 子どもが少ないので、周りからたくさんのストロークをもらうことでしょう。

 子どもたちの目は輝いていました。



 お年寄りたちの目も輝いていました。
 いつも誰かが気にかけてくれて決して孤独にならない、そんな印象を受けまし
 た。



 この島の人たちは「つながり感」を持って生きている、そう感じました。

 そういうものがわずらわしかったり、つながるがゆえにこじれてしまったりし
 て島を去っていく人もいることでしょう。

 でも、私のように、親の転勤で幼稚園2つ、小学校3つ、関東と関西を行った
 り来たりして「根無し草」のような感覚を持っている人間からしてみれば、と
 てもうらやましいことなのです。

 そんな自分自身を私は否定はしません。
 こういう体験が心の器の中にあるからこそ得た学びや気づきだってあるからで
 す。

 ただ、人と人とのつながりだけでなく、幼い頃に身を置いた土地の風土や自然、
 文化などとの「つながり感」があるということは、人が生きていくうえで、大
 きなエネルギーや支えになることがあるのではないか・・・、最近そんな気が
 するのです。 

 この島と出会ってから・・・。

 そんなことを考えさせてくれる場所だから、私はまた機会を作って、この島を
 訪れることになるでしょう・・・。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 発行元:インターネット交流分析研究会
 発行責任:森山貴代
 moriyama@iryo.co.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発
 行しています。( http://www.mag2.com/ ) 発行登録番号:0000006928
 このメールマガジンの他に『まぐまぐ』からの『ウィークリーまぐまぐ』も届
 くようになります。ご了承下さい。必要のない方は『まぐまぐ』のホームペー
 ジから解除できます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


index No.12